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アンラーニング

アンラーニングとは

「アンラーニング(unlearning)」は、従来の知識やスキルを一度手放すことで、新しい知識やスキルを習得するためのプロセスを指す。この概念は20世紀中頃に心理学や教育学の分野で広まった。初期の研究では、既存の知識が新しい学習を妨げることに焦点が当てられ、これを克服するための手法としてアンラーニングが提案された。特に1980年代から1990年代にかけて、情報技術の急速な進展に伴い、職場環境でも注目されるようになった。

アンラーニングの特徴

アンラーニングの特徴は、単に古い知識を忘れることではなく、意識的にその知識を再評価し、新しい視点を取り入れることである。
具体的な特徴として、以下の3点が挙げられる。
1つ目は、「意識的な行動」である。「意図的」に古い知識や習慣を見直す。
2つ目は、「批判的思考」である。 既存の知識が、現在の状況や目標に適しているかを評価する。
3つ目は、「新しい視点の導入」である。 古い知識を捨てることで、新しい情報やスキルを受け入れやすくする。

アンラーニングと類似する言葉

アンラーニングと同じ文脈でよく使われる言葉に「リスキリング(Re-skilling)」がある。リスキリングは「スキルの再習得」、「学びなおし」を意味する言葉である。アンラーニングが、「過去に得た知識や価値観を振り返り、取捨選択すること」に主眼を置くのに対し、リスキリングは、「新たなスキルの獲得」に焦点を置いている。但し、アンラーニングとリスキリングは矛盾するものではない。アンラーニングによる取捨選択は、過去の学びや成功体験が新しいスキルの習得を阻害することを防ぐため、リスキリングの土台になると考えられる。アンラーニングとリスキリングを組み合わせることで、より効果的な学びが得られると言える。

アンラーニングの事例

ビジネスの世界でのアンラーニングの事例として、コダック社がよく挙げられる。コダックはフィルムカメラで成功を収めたが、デジタルカメラの時代に適応できず、市場での地位を失った。これは、デジタル技術に対するアンラーニングが不十分だったためである。一方、IBMはメインフレームコンピュータからサービス業へのシフトを成功させた事例として知られている。これは、従来の製品中心のビジネスモデルをアンラーニングし、新しいサービス中心のビジネスモデルを採用した結果と言える。

アンラーニングのメリット・デメリット

アンラーニングのメリットは、主に3点挙げられる。
1つ目は、「適応力の向上」である。変化が激しい環境においても、柔軟な対応が可能となる。
2つ目は、「革新の促進」である。これまでの古い習慣を手放すことで、新しいアイデアが生まれることが期待できる。
3つ目は、「競争力の強化」である。最新の知識やスキルを取り入れることで、社員間の競争力が高まり、シナジー効果が期待できる。

一方でデメリットは、主に3点挙げられる。
1つ目は、「心理的抵抗が生まれる」点である。多くの人は、既存の知識やスキルを手放すことに対して、強い抵抗感がある。
2つ目は、「時間と労力がかかる」点である。 アンラーニングは従来の知識やスキルを一度手放すことで、新しい知識やスキルを習得するため、時間と労力がかかる。
3つ目は、「一時的にパフォーマンス低下する」点である。 新しいスキルを習得するまでの間、一時的にパフォーマンスが低下する可能性がある。

アンラーニングが注目される背景

アンラーニングがトレンドになっている背景には、急速な技術革新とグローバル化の進展がある。特にDX化が進む現代社会では、新しい技術やビジネスモデルが次々と登場している。これらに対応するためには、従来の知識やスキルを見直し、新しいものを受け入れることが不可欠である。また、働き方改革やリモートワークの普及も、従来の業務プロセスやコミュニケーション方法のアンラーニングを促進していると言える。

アンラーニング導入のステップ

アンラーニングを効果的に導入するためには、以下のステップが重要となる。
①内省
まず、過去の学びや経験によって自身が得た価値観やこだわりはどのようなものか、新しい学びの妨げになっていないかに気づくために、知識や経験の棚卸、他者との比較、客観的な視点での振り返りなどによる内省をおこなう。
一人で内省をおこなうのを苦手とする従業員も多いため、他部署や異業種とのビジネス交流会、ワークショップなどに参加し、外部からの刺激で気づきを得てもらうことも大切である。
②選択
内省によって認知できた自身の価値観について、「必要なもの、不必要なもの」を取捨選択していく。現在のビジネス環境や社会で必要とされているもの、他者の価値観と照らし合わせ、捨てるべき価値観や使用停止にすべきスキルを明らかにする。
この段階で大きな助けになるのが、チームメンバーや上司からのフィードバックである。360度フィードバックや1on1ミーティングを通じて、周囲からの評価や変えるべき点を伝えることで、取捨選択をサポートできる。
③変革
取捨選択の判断ができたら、実際に行動や価値観を変え、新たな学びを進めていく段階である。行動なしに価値観だけを変えることは難しいため、継続して異なる価値観を持つ相手と交流する機会や、新たな情報を得られる機会を提供することが必要である。
また、価値観の変化やアンラーニングの効果が表れるまでは時間を要するため、1on1ミーティングやコーチングにより、継続的な振り返りや学びを持ち続けられるよう取り組みをおこなう必要がある。

アンラーニングは、現代のビジネス環境において重要なスキルである

急速に変化する環境に適応し続けるためには、従来の知識やスキルを手放し、新しい視点を取り入れることが不可欠である。アンラーニングのプロセスを導入することで、組織はより柔軟で革新的な存在となり、競争力を維持することができる。アンラーニングの重要性を理解し、戦略的に取り組むことで、組織全体の成長と成功を促進することができる。

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